2016年 4月19日
最近住宅関連のニュースなどで、「ZEH」という言葉をよく見聞きしませんか?
あるいは、総合住宅展示場に行ってみると、「ZEH」と大書きされた垂れ幕やのぼりが数多くあるのをみかけたことはないでしょうか。そもそも、これはなんと読むのでしょう?「Net Zero Energy House」の頭文字を取って、 「ZEH」=「ゼッチ」と読みます。意味は、そのまま直訳すると、「正味、エネルギーがゼロの家」となります。
通常は、ZEH、またはゼロエネハウスなどと言われるので誤解されそうですが、 全くエネルギーを使わない家、という意味ではありません。 「Net Zero」 = 「正味ゼロ」ですから、エアコンや、給湯、照明などでエネルギーは使うのですが、 その使った分を自分で創ったエネルギー(創エネルギー)で補える家、ということなのです。
国の施策として、「エネルギー基本計画」(2014 年4月閣議決定)では、 「住宅については、2020 年までに標準的な新築住宅で、2030年までに新築住宅の平均でZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)の実現を目指す」とする政策目標が設定されています。うーん、でもなんだか、よくわかりません (^^;)A 平たく言うと、2020年までに新築住宅の半分、2030年までには、普通の新築住宅のほとんどがこのZEHで建てられるようになることを目指している、ということのようです。
家は一度建てたら、住む人だけではなく、「社会のインフラ」として、エネルギー面でも社会にインパクトを与えていくわけですから、これからの地球環境保護に貢献できる家づくりとして、「ネット・ゼロ・エネルギー」な家をつくっていくことはとても大事なことだと思います。 それでは、具体的にZEHとはどのような家なのでしょうか。
少しかたい話が続きますが、ZEHロードマップ検討委員会(経済産業省)の「とりまとめ」(平成27年12月)によると、ZEHとは、
「外皮の断熱性能等を大幅に向上させるとともに、高効率な設備システムの導入により、室内環境の質を維持しつつ大幅な省エネルギーを実現した上で、再生可能エネルギーを導入することにより、年間の一次エネルギー消費量の収支がゼロとすることを目指した住宅」と定義されています。 うーん、やっぱりなんだか、よくわかりませんよね? (;^_^A
ここに「ZEH」のイメージを図があります。
出所:平成26年度補正 住宅・ビルの革新的省エネルギー技術導入促進事業費補助金(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス支援事業) この図を見ながら、整理してみましょう。
① まず、壁や窓がしっかりとした断熱性能を持っている家であること。 ② 次に高効率エアコン、省エネ(熱交換型)換気設備や、LED照明などの、エネルギー効率の高い(省エネ)設備類を設置して年間の消費エネルギーを削減すること。 ③ そして、最後に太陽光発電やエネファームなどの、家で電気をつくれる(創エネ)設備類を設置して、②で使うエネルギーより大きなエネルギーをつくりだすこと。
なるほど。これができれば、エアコンや給湯でエネルギーは使うけれど、年間でトータルすると消費エネルギーを創エネルギーで相殺して、実質(正味)エネルギーがゼロの家となるわけですね。 (注:ZEHの定義上の消費エネルギーとは、冷暖房、給湯、照明に使われるエネルギーのことで、テレビや冷蔵庫、掃除機などの家電で使うエネルギーは、含まれていません。)
①の断熱性能は、家そのものの話ですが、②と③は、設備メーカーの最先端技術製品を家にとりつける、というものです。 ここでちょっと考えたいのは、今の「最先端技術」は4年後には最先端ではなくなっている可能性があるということです。 2020年に新築住宅の少なくとも半分をZEHにするという国の施策がある、ということは、これらの最先端設備はものすごく需要が伸び、各設備メーカーはこぞって性能、価格を競うでしょう。これからもっと性能も価格も進化した、最先端な製品が出てくることが十分予想されます。 しかし、「断熱性能」は、断熱材として使える素材はすでに出揃っていて、素材ごとに特徴はあるものの、「新しい/古い」はほぼありません。そして、壁や窓などの断熱性能は家を建てるときに素材・性能を決定しないと、後からの変更はほとんどできません。 これから家を建てる場合、ZEHであることは、とても重要なことですが、まだまだ進化しそうな②、③の設備類を優先して導入するよりも、上の図からも判るように、ZEHであるために非常に重要で、かつ建てた後からは変えられない、①の「断熱性能」を最優先すべき、ということが見えてきます。 もっというと、すでに建っている家でも、しっかりとした断熱性能などの基本技術、設計により消費エネルギーを抑えられている家であれば、これから最先端の太陽光発電パネルを載せれば、「ZEH」にできる、ということなのです。 逆に言うと、断熱性能が弱い既存住宅をZEHにするには、かなり大きな太陽光発電パネルが必要であり、そのような大きなパネルが屋根に乗り切らなければ、後からZEHにすることはできないということです。
無印良品さんがわかりやすくまとめてくださっていますので引用させていただきました。
快適性と省エネ性能を家そのもので両立させる家づくりはどのようにしていくのか 考えていきたいとおもいます。